せっかくマイホームを建てるなら、人気のハウスメーカーに依頼したいという方が少なくないと思います。
しかしマイホーム購入の予算は限られているので、予算オーバーのためにハウスメーカーで注文住宅を建てるのを断念せざるを得ないということも多いのではないでしょうか。
そんな場合の選択肢のひとつとして、ハウスメーカーの建売住宅を購入する方法があります。
ハウスメーカーの建売住宅は、ブランド力や一定の品質を備えながらも比較的低価格で購入できるというメリットがあります。
しかしハウスメーカーごとに特徴がありデメリットも存在するので、それぞれの特徴を良く理解して購入することが大切です。
本記事では建売住宅の特徴やハウスメーカーによる違い、ハウスメーカーの建売住宅購入で失敗しない方法などをご紹介しますので、マイホームを購入する際の参考にしてください。
もくじ
ハウスメーカーの建売住宅とは?

建売住宅とは土地と住宅をセットで販売しているもので、まとまった土地を数区画に分け、同じ仕様の住宅をほぼ同時期に建築して販売されます。
数棟程度の比較的小規模なものから、分譲地全体をひとつの街として捉え、公園や緑地などを備えた大規模なものまで様々です。
積水ハウスやダイワハウス、住友林業などの大手ハウスメーカーが手掛ける建売住宅は、分譲地全体の景観が整備された比較的利便性の高い大型分譲地に建っていることが多いのが特徴です。
建売住宅と注文住宅の違いとは?

そもそも建売住宅と注文住宅とでは、どの様な違いがあるのでしょうか。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
建売住宅の特徴
建売住宅は土地と建物がセットで販売されるものなので、注文住宅を建てる時の様にあらかじめ土地を用意しておく必要がありません。
販売されるタイミングは、建物が完成してから販売開始されるケースや建築中に販売されるもの、プランが出来上がった時点で販売されるものなど様々ですが、販売開始の時点では間取りや仕様、設備などが決まっているので、自分の要望を自由に採り入れることはできません。
注文住宅の特徴
注文住宅では、間取りやデザイン、仕様、設備などの自分の要望を比較的自由に設計に採り入れることができます。
個性的なオンリーワンの住宅を建築することが可能ですが、あらかじめ建築用地を調達しておく必要があり、トータル費用が高額になる傾向があります。
建売住宅に入居するまでの5つの流れとは?

この章では建売住宅を購入して入居するまでの流れについてご紹介します。
予算や希望条件を決める
マイホームの購入にあたって絶対に避けて通れないのが予算の問題です。
初めに資金計画を立てて購入予算を決めなければなりません。
住宅ローンを利用する際には年収などを元に、インターネットの住宅ローンシュミレーションなどを利用して、いくらまでなら住宅ローンを組んでも毎月無理なく返済可能なのかを試算します。
そして試算した住宅ローンの借入額と調達可能な自己資金を元に、購入予算の目途を立てます。
予算の目途が立ったら、次にエリアや立地条件、土地と建物の面積、間取りなどの希望条件をまとめましょう。
その際には、希望の優先順位を明確にしておくと良いでしょう。
物件を探す
予算と希望条件がまとまったら、いよいよ物件探しです。
物件探しは検索サイトなどを使って自分で行うほか、希望エリアの不動産仲介会社に依頼することもできます。
なかなか要望通りの物件が見つからない場合には、優先順位が低い条件を譲歩して、条件を変えて探すことも必要になります。
現地を見学に行く
希望に沿う物件が見つかったら、現地に見学に行きます。
建売住宅は建物が完成する前に販売を行うことが多いので、土地と図面だけでは分からない点があれば、現地スタッフに質問し、不明な点を解消しておくことが大切です。
尚、現地確認は時間や曜日、天候などの条件を変えて、複数回行う様にすることをオススメします。
購入の申し込み・契約
物件を購入する意思が固まったら、購入の意思を正式に伝える「購入の申し込み」を行います。
その際、「申し込み証拠金」として数万円程度の現金が必要になる場合があります。
購入申し込みから1週間~10日後に、「重要事項説明」を受けて売主と「売買契約」を取り交わします。
その際には、所定の手付金の支払いが必要になります。
引き渡し
建物が完成する前に売買契約を結んだ場合には、建物が完成した際に内覧を行います。
内覧では、仕上がりの状態や契約内容と異なる点がないかどうかをチェックし、特に問題がなければ残代金を支払い、建物の引き渡しを受けます。
建売住宅のメリット・デメリット

建売住宅を購入する際には、そのメリットとデメリットを良く理解しておく必要があります。
この章では建売住宅のメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
まずはメリットからご紹介しましょう。
・契約から入居までが短期間に行なえる
建設用地を購入してから建物を設計し、建築工事を行う注文住宅と違って、土地と建物を同時に購入し、建物の設計が既に終了している建売住宅は、入居するまでにかかる手間や時間を大幅に短縮することができます。
・生活のイメージがしやすい
建物の設計がすでに終了しているので、間取りの使い勝手や日当たりなど生活のイメージがしやすくなります。
・価格が安い
仕様や設備を統一して建築資材を大量に安く仕入れることができる建売住宅は、1軒当たりの建築コストを抑えることができます。
また土地と建物の売主が同じという点においても、安く購入することが可能になります。
・街並みの景観が良い
特に大手ハウスメーカーの大型分譲地は景観に配慮し、道路、公園、緑地などが整備されているので、分譲地全体が統一感のある美しい街並みになります。
・近隣とのトラブルが少ない
建売住宅の分譲地では、あらかじめ敷地の境界が明確になっていることが多く、入居する時期もほぼ同時期なので近隣とのトラブルが発生する可能性が低くなります。
デメリット
次にデメリットをご紹介します。
・間取りやデザイン、設備などの自由度が低い
販売時点で建物の設計がすでに終了している建売住宅では、自由に間取りや仕様、設備などを選ぶことができません。
選択できるものに大幅な制限があります。
・工事の経過を見ることができない
建売住宅では多くの場合、家が建てられる過程を見ることができません。
工事途中に不具合や手抜きがあっても、そのまま工事が進んでしまう可能性が高くなります。
したがって信頼できる建築業者でなければ安心することができません。
・増改築、リフォームに制限がある
建売住宅は、建ぺい率や容積率の上限で建築されるケースが多くなります。
そのため、将来増築することができない場合があります。
また大手ハウスメーカーの建売住宅は、特殊な工法を採用しているケースが多く、構造上の問題から増改築・リフォームが困難になる場合があります。
工事を依頼する際には、建築したハウスメーカーに限られる場合が多いので、事前に確認しておく必要があります。
建売住宅に向いている人とは?

前章で建売住宅のメリットとデメリットを理解していただけたと思います。
では、建売住宅はどの様な人に向いているのでしょうか。
土地がない人
マイホームを建てるための土地探しには、非常に手間と時間がかかります。
土地購入までに1年以上かかるケースも珍しくありません。
また土地の購入と建物の建築を分けて行う場合には、予算管理や資金調達、住宅ローンの手続きなどが煩雑になりがちです。
これらにかかる手間や時間をできるだけ少なくしたい人にとっては、土地と建物を同時に購入することができる建売住宅がオススメです。
できるだけ早く入居したい人
土地と建物を同時に購入することができ、すでに設計作業が終了している建売住宅は、後は建物の完成を待つだけで入居することができます。
また建物がすでに完成している場合には、更に入居時期を早めることが可能になります。
できるだけ早く入居したい人にとって、建売住宅は最適な選択肢になります。
家づくりに時間や手間をかけたくない人
注文住宅を建てる場合には、すでに土地を所有している場合であっても建物のプラン作成や仕様決めなどに多くの手間や時間がかかり、設計から入居するまでには最低でも半年以上かかります。
家づくりに時間や手間をかけたくない人や、時間がない人には建売住宅がオススメです。
決められた間取りやデザインの中から家を選びたい人
間取りや仕様をゼロから決める注文住宅では、建物が完成して実際に生活してみると使い勝手の悪さや住み心地の悪さに気づくことが少なくありません。
一方、住宅会社によって決められた間取りやデザインの中から選ぶ建売住宅では、大きな失敗はほとんどありません。
リスクを避けて決められた間取りやデザインの中から家を選びたい人には建売住宅が最適です。
またすでに完成している建売住宅から選ぶ場合には、実際の使い勝手や住み心地を確認してから購入することができます。
ハウスメーカーによって建売住宅には違いがある?

建売住宅というと一般的にはコスト優先になるので、どれも似たような外観でどこの住宅会社が建てたものでも特に大きな違いはないと思われている方が多いと思います。
しかし、特に大手ハウスメーカーが建てる建売住宅には、それぞれ大きな特徴があります。
外観のデザインや独自の空調管理システムの採用、充実したセキュリティー、高い省エネ性能、耐震性の強化など、それぞれの会社の強みが建売住宅にも活かされています。
また構造や工法にも違いがあります。
ハウスメーカーによっては、将来増改築・リフォームを行う際に他の住宅・リフォーム会社では施工ができない場合などがあるので、事前に確認しておく必要があります。
建売住宅購入で失敗しないための3つの注意点

建売住宅の購入で失敗しないためにはどんな点に注意すれば良いのでしょうか?
この章では建売住宅購入で失敗しないための3つの注意点をご紹介します。
信頼できるハウスメーカーを選ぶ
建売住宅では、工事中の経過を見ることができないことがデメリットになります。
ご自身で工事中の様子を確認したり、建築の専門家に依頼して工事中に検査を行ったりすることはできません。
そのため万一施工に不具合があったとしても、施工業者の品質管理体制が整っていないと見過ごされてしまう可能性が高くなります。
施工業者を100%信用するしかないのが建売住宅なのです。
したがって建売住宅の購入にあたっては、注文住宅を建てる時以上に信頼できるハウスメーカーを選ぶことが重要になります。
ハウスメーカーごとの特徴を理解する
ハウスメーカーによってそれぞれ特徴があることは前述しました。
建売住宅にもそれぞれの会社の強みや弱みが現れるので、それぞれの会社がどの様な住宅を得意としているのか、ハウスメーカーごとの特徴を良く理解しておくことが必要です。
また住宅では、住み始めてからのアフターフォロー体制が重要になるので、会社ごとに異なるアフターフォローの内容についても必ず確認しておく様にしましょう。
こだわりのポイントを決めておく
建売住宅では自分の要望を100%全て実現することはできませんが、どうしても譲れない点が誰でもひとつやふたつはあるものです。
これを妥協してしまうと、引き渡し後に後悔する事にもなりかねません。
事前にこだわりのポイントを書き出しておくと良いでしょう。
【Q&A】建売住宅と注文住宅のコストの違いはどれくらい?

Q:建売住宅と注文住宅とでは建築コストはどれくらい違うのでしょうか?
A:一般的な住宅市場では、注文住宅と比べて建売住宅の方が低価格になる傾向があります。
これは必ずしも建売住宅の方が注文住宅よりもグレードが低くなるためではありません。
建売住宅では、仕様や設備を統一して建築資材を大量に一括購入することで、コストダウンを実現させています。
また同じ分譲地内で一度に複数の住宅を建築するため、職人の人件費や資材の運搬費、現場管理費などのコスト面でも有利になります。
安くなった分の費用を建物のグレードアップに回すこともあるので、単純に注文住宅の建築コストと比較することはできません。
また注文住宅でも、あまりプランや仕様にこだわらなければコストを抑えることが可能です。
したがって両者に明確な価格差がある訳ではないのですが、全く同じ面積、同じ仕様の住宅であれば、建売住宅の方が1割以上安く建築できる可能性があるといえます。
まとめ
ハウスメーカーの建売住宅はブランド力による安心感があって、一定の品質を備えながらも注文住宅を建てるよりも低価格で購入できるのがメリットです。
そのため、予算重視で人気のハウスメーカーの家に住みたいと思っている方にとっては、非常にオススメと言えます。
また大手ハウスメーカーの大型分譲地は比較的利便性の高いエリアにあることが多く、景観にも配慮されているので、統一されたきれいな街並みが形成されます。
住まいにステータス性を求める方にとっても満足できるでしょう。
一方、建売住宅は不特定多数に向けて販売されるため、多くの人に支持される無難なデザインや間取りになります。
マイホームに自分のこだわりを反映させたい人にとっては、物足りなさを感じることが多くなるでしょう。
本記事では、建売住宅のメリットとデメリットについても詳しくご紹介しました。
これらのことを参考にして、ご自身の住まい選びに役立てていただければ幸いです。



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