注文住宅を建築しようと思った時に、住宅展示場を見学に行く方が多いと思います。
現在はインターネットの普及により、家に居ながらにしてたくさんの情報を集めることが可能になりましたが、実際の暮らしぶりを体感することはできません。
住宅展示場見学の最大のメリットは、空間の広さや住宅設備機器の使い勝手、居住性、快適性などを実際に体感できることにあります。
住宅展示場のモデルハウスには、家具やカーテン、インテリア小物などが設置され、住宅を建てた後の生活を意識した展示が施されています。
しかし一方では、住宅展示場に建っているモデルハウスは実際に自分たちが建築する住宅とはスケール感やグレード、価格帯などが異なることが多いため、かえって混乱してしまうことにもなりかねません。
また、見学後にハウスメーカーの営業マンからしつこく営業されるのではないかという不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで住宅展示場を利用する際には、正しい利用方法を知っておく必要があります。
本記事では、住宅展示場見学のポイントや注意点など、見学のイロハを解説します。
是非、これを読んでより良い住まいづくりの参考にして欲しいと思います。
もくじ
住宅展示場の見学を行うタイミング

「家を建てよう!」と思った時に、とりあえず参考のためという理由で、何の準備も行わずにいきなり住宅展示場に見学に行くのはあまりオススメできません。
最初に見学したモデルハウスの営業マンにつかまってしまい、ついズルズルと具体的な商談に至ってしまうことにもなりかねません。
ここでは注文住宅を建てる際の一連の流れをご紹介しながら、住宅展示場見学を行うタイミングについて解説します。
1.住まいに対する要望や条件を整理する
注文住宅建築の際には、まず「どんな家を建てたい」のか、家族全員の住まいに関する要望や条件を整理することが重要です。
敷地の広さや形状、道路付け、建ぺい率、容積率、予算、建築時期などの条件をまとめると共に、「なぜマイホームが必要なのか?」「マイホームを建ててどんな暮らしがしたいのか?」を明確にしておく必要があります。
現在の住まいに対する自分や家族の不満をとりまとめて、「どんな家を建てたらそれらの不満が解消できるのか?」のイメージづくりを行います。
日頃から住宅雑誌やインターネット、新聞広告、チラシなどを参考に、ご希望の家についてのイメージを固めておくことが大切です。
2.各ハウスメーカーの情報を収集し比較する
住まいづくりのイメージが固まったら、モデルハウスを見学に行く前に様々なハウスメーカーの情報を集め、自分の希望の家が建てられそうなハウスメーカーをいくつかピックアップします。
予算や外観デザイン、構造、階数、住宅性能、特徴など、同じハウスメーカーの中にも様々な商品体系があるので、それらの情報を集めて事前に比較検討しておくことが大切です。
ハウスメーカーに関する情報収集は住宅雑誌や広告などで行うほかに、インターネットのカタログ請求サービス
(HOME’S https://www.homes.co.jp/iezukuri/ 等)を利用して行う方法があります。
気になるハウスメーカーや商品が見つかったら、特に念入りに見ておきたい点をまとめておくと良いでしょう。
3.目的のモデルハウスが展示されている住宅展示場を探す
まずは近くの総合住宅展示場を回って気になるモデルハウスをチェックする方法もありますが、事前にカタログなどを調べてお気に入りの住宅が見つかったら、それが展示されている展示場を探して見学に行きましょう。
見学に行く際には、筆記具、メモ帳、メジャー、カメラ(スマートフォンのカメラでも可)を持参することをオススメします。
4.見学後に家族の意見をまとめてハウスメーカーを絞り込む
見学後には家族全員の印象をまとめておきましょう。
気に入ったハウスメーカーや外観、間取り、仕様、設備機器などは家族それぞれで異なるはずです。
それぞれの印象や意見、疑問点などを忘れないうちにまとめて、2~3社に絞り込みます。
5.絞り込んだモデルハウスの再見学を行う
家族全員の意見をまとめて絞り込んだモデルハウスの再見学を行います。
疑問点や不明点などがあれば、再見学の際に解消しておくことが大切です。
モデルハウスの再見学を行って疑問や不安が解消したら、プラン・概算見積依頼を行い、具体的な商談へと進むのが一般的な流れです。
住宅展示場を見学するそもそもの目的

注文住宅を建てる際の流れや、住宅展示場見学のタイミングがわかったところで、そもそもなぜ住宅展示場を見学する必要があるのでしょうか。
ただ漠然といくつもの住宅展示場巡りを繰り返しても、単に無駄な時間を使うだけで何のメリットもありません。
住宅展示場を見学する際には、あらかじめ目的を明確にしておくことが大切です。
住宅展示場見学の目的
・各ハウスメーカーの最新の住宅を比較検討することができる
・実際に建物の内部に入って体感することで、カタログなどではわからない空間の広さや間取りの使い勝手などを実感できる
・素材や最新の住宅設備機器に触れて、実際に確認することができる
・断熱性や気密性などの住宅性能を体感することができる
・サンプルや色見本ではわからない各ハウスメーカーのインテリアやエクステリアを比較することができる
・最新の住宅のトレンドをチェックできる
・家具の配置やウインドウトリートメントなどインテリアコーディネートの参考になる
・カタログではわからない疑問点などを質問することができる
・住宅ローンや土地探し、税金に関するセミナーや法律の専門家による相談会などのイベントが開催されていることがあるので、住宅建築に役立つ情報を得ることができる
・各ハウスメーカーのカタログを入手することができる
住宅展示場見学には様々なメリットがありますが、最大のメリットは「実際に見て触って五感で体感できる」ことです。
あらかじめ目的を明確にして見学することで、より大きな効果を発揮することができるでしょう。
住宅展示場は何件ほど回るべき?

住宅展示場見学は、何棟以上必要といったことは特にありません。
しかし、複数のモデルハウスを見学して、それぞれのメリット、デメリットを十分に比較検討することは必要でしょう。
見学前にカタログ等を入手して、ある程度候補のハウスメーカーを絞り込んでおけば、十軒以上回る必要はありませんが、ハウスメーカーによってそれぞれ特徴があるので、本命のハウスメーカーや商品がある場合でも比較のために最低でも3~4軒程度は見学することをオススメします。
住宅展示場を回る際にかかる所要時間の目安

住宅展示場に見学に行くと、営業担当者に長時間拘束されるのではないかという不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし、住宅展示場の1棟当たりの平均滞在時間は30分程度というアンケート結果があるように、営業マンに長時間拘束されてしまうといったことはほとんどありません。
住宅展示場を見学する際の所要時間は、目的や見学するモデルハウスの優先順位によっても異なると思いますが、室内をくまなく見学して必要な情報を得るためには、最低でも1時間以上はかかってしまうと考えておいた方が良いでしょう。
特に本命のハウスメーカーのモデルハウスであれば、不明点や疑問点などを解消するために、営業担当者の説明を聞いたり、質問したりする時間が必要になるので、時間に余裕を持って見学に行く様にしましょう。
したがって、一日で複数のモデルルームを見学して比較検討する際には、最大でも3~4棟/日程度を目安にすると良いでしょう。
また、土日の13~15時くらいの時間帯は、どこのモデルハウスも混雑する時間帯です。
本命のハウスメーカーのモデルルームを見学する際には、この時間帯を避けた方が隅々までくまなく見学することができ、営業担当者から丁寧に質問に答えてもらうことができます。
じっくりと時間をかけて見学するなら混雑する時間帯を避け、営業マンを避けて自由に見学したいのであれば、あえて混み合う時間帯を選んで見学する方法もあります。
住宅展示場を見学する際の流れをステップごとに紹介

住宅展示場を見学する際の手順は以下の通りになります。
1.必要によって電話やWEBで予約
人気のハウスメーカーのモデルハウスは、時間帯によって非常に混雑する場合があります。
モデルハウスでは、ただ見学するだけではあまり役立つ情報は得られません。
営業マンに説明を受けてこそ、有益な情報をたくさん得ることが可能になります。
しかし営業担当者が不足すると、質問しても十分な説明が受けられないといったことにもなりかねません。
本命のハウスメーカーのモデルハウスを見学する場合には、必要に応じて予約をしておくと良いでしょう。
2.事前に資料等を取り寄せて準備する
気になるハウスメーカーがあったら、あらかじめカタログや資料を取り寄せて事前に目を通しておくと、モデルハウスで確認したいことや質問したいことが明確になります。
3.クラブハウスで受け付けする
住宅展示場に到着したら、クラブハウス(センターハウス)で受付をします。
4.場内マップでお目当てのモデルハウスを確認する
住宅展示場内は広いので、クラブハウスで場内マップを入手し、お目当てのモデルハウスの場所と、見学する順序を確認します。
5.目当てのモデルハウスを見学
ほとんどのモデルハウスでは、見学する前にアンケートの記入を求められるので、記入して見学を開始します。
見学後に営業されたくない場合には、その旨をきちんと伝えます。
住宅展示場を見学する際に重要なチェックポイント3選

住宅展示場のモデルルームでは、つい豪華な住宅設備機器や見栄えの良い内外装の仕上げ、間取りなどに目を奪われがちです。
しかしそれらはお金さえ出せば、どこのハウスメーカーで建てても同じ様に作ることができます。
モデルハウスは、「こんな家づくりを行っている」、「こんな技術を持っている」というハウスメーカーの住まいづくりの姿勢を表すものです。
モデルハウス見学で大切なことは、住まいづくりにおいて各ハウスメーカーが何を重視しているのかを見極めることです。
特に住宅性能や住まいづくりのコンセプトなど、ハウスメーカーごとの特徴をモデルハウスを通じて良く理解しておくことが重要です。
住宅展示場を見学する際のチェックポイント
1.最新の設備や機能
空調や換気システム、防犯システム、防災システム、床暖房、使い勝手の良い住宅設備など、実際の稼働状態などを体感して、自分にとって本当に必要なものなのかどうかを判断します。
2.住宅性能
省エネ・断熱性、気密性、耐震性、バリアフリー性などの住宅性能は、カタログなどでうたっていても実際に目に見えるものばかりではありません。
住み心地や快適性、安全性への配慮など、体感できるものはモデルハウスで確認しておきましょう。
3.各ハウスメーカーの強み
各ハウスメーカーがセールスポイントにしている部分が、実際に他社と比較してどうなのかを確認します。
カタログ上ではセールスポイントとしていても、実際には他社と大きな違いはないというようなこともあるので、本当に強みになっているのかどうかをしっかりと確認しておくと良いでしょう。
住宅展示場を見学する際に気を付けるべき注意点3選

住宅展示場に建っているモデルハウスは、その多くが大規模で仕様のグレード
が高く、住宅設備機器もフル装備です。
住宅展示場を見学する際には、まずはこの点をよく理解した上で見学する必要があります。
したがって、ハウスメーカーが公表している坪単価で建築できる標準仕様とは大きくかけ離れているのが一般的なので、注意が必要です。
住宅展示場見学の際の注意点
1.サイズ違いに注意
モデルハウスの多くが延べ床面積50~60坪前後で建てられていて、一般の住宅(30~40坪)に比べて非常に大きな住宅になっています。
ひとつひとつの部屋も大きく作られ、玄関やリビングルームなどは特に大きめに設計されています。
また、吹き抜けやインナーバルコニー、中庭などがある場合も多く、自分の敷地内には建てられないケースもあります。
実際にマイホームを建てる際の間取りには参考にならないことも多いので、注意が必要です。
2.標準仕様かオプションかの確認が必要
モデルハウスに使用されている建材や部材は、標準仕様とは限りません。
外装材や内装材、建具などには、見た目が豪華なオプション品が使われているケースが珍しくありません。
また、住宅設備機器についてもオプション品をフル装備していることがほとんどです。
モデルハウスの仕様のどの部分が標準仕様でどの部分がオプションなのかを、事前に良く確認しておくことが重要です。
また、耐震性能や断熱性能などの住宅性能に関する部分についても、標準仕様とオプション仕様の違いを確認しておく必要があります。
3.価格について
ハウスメーカーのカタログなどに掲載されている坪単価は、ほとんどが標準仕様の価格でモデルハウスの仕様とは大きく異なります。
またモデルハウスと全く同じ仕様で建てたとしても、坪単価は建物の面積が小さくなると高くなるので注意が必要です。
住宅展示場見学に関するQ&A

このパートでは、住宅展示場見学に関するQ&Aをまとめてみました。
服装や格好を見られているって本当?
外見でお客様を判断するのはあまり好ましいことではありませんが、契約する
見込みが高い人ほど接客に力を入れたいというのが多くの営業マンの本音です。
特に意識しないまでも、ハウスメーカーの多くの営業マンが住宅展示場を訪れるお客様の選別をしているということに、ほぼ間違いはありません。
住宅は高額なものなので、全ての人が簡単に買えるものではありません。
扱っている住宅がハイグレードなものであるほど、「このお客様は買える人なのかどうか」、「本気で建築を考えているお客様なのか?」、「冷やかしでないか?」といったことを注意深く見定めています。
服装や格好などで、提案・アドバイスに必要なお客様の趣味嗜好を想像すると共に、所得や職業、会社での地位などを推測していることも珍しくありません。
また、乗っている車や身に付けている時計、アクセサリー、バックなども注意深く観察していることが多い様です。
他にも、夫婦で見学に行くと本気度が高いと見られる反面、女性一人で見学に行くと対応がおざなりになるなどの傾向があるのは事実でしょう。
住宅展示場で対応してくれた営業マンがそのまま担当者になるってほんと?
営業マンとの相性は、住まいづくりが成功するかどうかの大切な要素のひとつです。
多くのハウスメーカーには、住宅展示場で対応した営業マンが引き続き営業担当者としてフォローするという暗黙のルールがあります。
しかし、住宅展示場で対応した営業マンがそのまま担当者になるかどうかは会社によって異なる場合もあります。
モデルハウス専任の接客担当者がいる場合もあれば、建築するエリアによって営業担当者が振り分けられる場合などもあります。
しかし、接客してくれた営業マンが好印象だったために次のステップに進みたい場合には、その旨を伝えて営業担当者を指名してみるのも良いでしょう。
信頼できる営業マンかどうか見抜く方法はある?
住宅展示場で一度面談しただけで、信頼できる営業マンかどうかを見抜くのは非常に難しいと思います。
どこのハウスメーカーのモデルハウスにも接客マニュアルがあって、セールストークはマニュアルに沿って行われるためです。
しかし、他社の悪口を言う営業マン、要望をきちんと聞いてくれない営業マン、質問に対して誠実に答えてくれない営業マンは、今後長く付き合っていく上で失格です。
モデルハウスを見学する際には、多くの質問を投げかけて、営業マンの対応を見るのも良い営業マンとそうでない営業マンを見分ける一つの方法です。
見学後にしつこく営業されたくない場合はどうする?
モデルハウスを見学すると、後でしつこく営業されるのではないかと思って躊躇してしまう人も多いのではないでしょうか。
また中には、すぐには建築しないが、将来家を建てる際の参考のために見学したいと思う人も少なくないでしょう。
モデルハウスを見学する際には、ハウスメーカーの担当者からはじめにアンケート記入を求められ、そこには住所・氏名・電話番号・メールアドレス等の記入欄があります。
アンケートは、その後の営業活動に活かすためのものだけでなく、来場者の本気度を見極めたり、家づくりの相談を受けるための問診票としての役割を持たせたりするものなので、記入しないわけにはいきませんが、最初に営業されたくないことをきちんと伝えておけば、しつこく営業されることはほとんどないでしょう。
まとめ
住まいづくりを検討している多くの人が利用する住宅展示場。
住宅展示場は、住まいを建てたい人と住まいを建てる人が出会う場でもあります。
よりよい住まいづくりを行うためには、良いハウスメーカー、良い工務店との出会いが欠かせません。
住宅展示場は、単にモデルハウスを見学に行く場ではなく、住まいづくりの良きパートナー探しの場として有効的に活用して欲しいと思います。



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